2010年7月31日星期六

NEWSの窓 国際 エネルギー 増える人口と限りある資源

NEWSの窓 国際 エネルギー 増える人口と限りある資源

毎日小学生新聞--7月31日(土)11時14分配信

 ◆毎日新聞論説委員(まいにちしんぶんろんせついいん) 中島哲夫(なかじまてつお)

 前回(ぜんかい)のテーマはメキシコ湾(わん)の原油流出事故(げんゆりゅうしゅつじこ)でした。記事(きじ)の終(お)わりの方(ほう)で、今後(こんご)の世界(せかい)では、環境(かんきょう)への配慮(はいりょ)よりエネルギー確保(かくほ)が優先(ゆうせん)されるだろうと予測(よそく)しましたが、覚(おぼ)えていますか? 今回(こんかい)はその理由(りゆう)を説明(せつめい)しましょう。

 日本(にっぽん)では少子化(しょうしか)が深刻(しんこく)な問題(もんだい)ですが、地球全体(ちきゅうぜんたい)の人口(じんこう)は増(ふ)え続(つづ)けています。200年前(ねんまえ)に10億人(おくにん)だったのが、約(やく)10年前(ねんまえ)に60億人(おくにん)を超(こ)え、今(いま)は70億人(おくにん)に近(ちか)づいています。

 しかも、世界(せかい)の国々(くにぐに)が次第(しだい)に発展(はってん)し、人々(ひとびと)は豊(ゆた)かな暮(く)らしを求(もと)めますから、一人当(ひとりあ)たりのエネルギー消費量(しょうひりょう)も増(ふ)えます。これと、どんどん増(ふ)える人口(じんこう)を「掛(か)け算(ざん)」したら、地球全体(ちきゅうぜんたい)での必要量(ひつようりょう)が激増(げきぞう)するのは当然(とうぜん)ですね。

 それとは反対(はんたい)に、石油(せきゆ)、石炭(せきたん)、天然(てんねん)ガスなどの地下資源(ちかしげん)は、掘(ほ)れば掘(ほ)るほど減(へ)っていきます。メキシコ湾(わん)の海底油田(かいていゆでん)が環境汚染(かんきょうおせん)の危険(きけん)を冒(おか)して開発(かいはつ)されたのは、陸上(りくじょう)で新(あら)たに掘(ほ)れる候補地(こうほち)が残(のこ)り少(すく)なくなってきたからです。

 こんな現実(げんじつ)を背景(はいけい)に、エネルギー資源(しげん)の獲得競争(かくとくきょうそう)が始(はじ)まりました。特(とく)に中国(ちゅうごく)は、世界各地(せかいかくち)でなりふり構(かま)わず石油(せきゆ)や天然(てんねん)ガスを確保(かくほ)する動(うご)きが目立(めだ)ちます。巨大(きょだい)な祖国(そこく)を急(いそ)いで発展(はってん)させようと一生懸命(いっしょうけんめい)なのです。

 また、中国(ちゅうごく)は国内(こくない)に石炭(せきたん)が豊富(ほうふ)ですが、それを掘(ほ)る炭鉱(たんこう)でひんぱんに大事故(だいじこ)が起(お)き、多数(たすう)の死者(ししゃ)が出(で)ています。「環境保護(かんきょうほご)や災害防止(さいがいぼうし)は二(に)の次(つぎ)」というのが本音(ほんね)なのでしょう。

 日本(にっぽん)でも以前(いぜん)は、九州(きゅうしゅう)や北海道(ほっかいどう)に炭鉱(たんこう)が多(おお)く、大事故(だいじこ)もありました。人命(じんめい)が失(うしな)われても「経済発展(けいざいはってん)のために石炭(せきたん)を掘(ほ)ろう」という時代(じだい)だったのです。

 国(くに)の発展段階(はってんだんかい)によって状況(じょうきょう)は違(ちが)っても、エネルギー確保(かくほ)が重要(じゅうよう)なのは同(おな)じです。では、各国(かっこく)が競争(きょうそう)しているうちに石油(せきゆ)や天然(てんねん)ガスが「枯渇(こかつ)」したら、つまり掘(ほ)り尽(つ)くされてしまったら、いったいどうすればよいのでしょう? 次回(じかい)はこの問題(もんだい)を考(かんが)えます。

………………………………………………………………………………………………………

 関西(かんさい)と九州(きゅうしゅう)で事件(じけん)などの取材(しゅざい)を10年(ねん)、次(つぎ)に国際(こくさい)ニュースを18年担当(ねんたんとう)。韓国(かんこく)とアメリカで12年暮(ねんく)らした。北朝鮮(きたちょうせん)でも6回取材(かいしゅざい)した。ただし、国際派(こくさいは)というより農村出身(のうそんしゅっしん)の自然愛好派(しぜんあいこうは)。

最終更新:7月31日(土)11時14分


http://news.kids.yahoo.co.jp/headline/article/20100731-00000000-maiel-kids.html