【コラム】グーグル、決断のとき-中国撤退は是か非か
HEARD ON THE STREET
2010年 1月 14日 17:57 JST
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これがグーグルにとって重大な決断の時であることは間違いない。
中国からの撤退検討を明らかにしたことで、同社は拡大を続ける巨大市場でのトップの座よりも安全なサービスを提供することを重視する姿勢を示した。
しかし、これは正しい決断だろうか。
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Reuters 中国・北京のグーグル拠点
同社の中国事業は、まだ小さく、目先では、撤退しても大きな影響はない。シティ・インベストメント・リサーチによれば、同社の中国事業は、2010年の利益全体の1%に過ぎない。
このためグーグルは、中国での負けを認めたくないばかりに倫理的な理由を掲げて撤退しようとしているという見方が出ているが、これは誤りだ。調査 会社のアナリシス・インターナショナルによると、グーグルの検索サービスのシェアは2006年の13%から2009年の第4四半期には36%に拡大してい る。
検索サービスでトップの百度の58%からは大きく離されている。しかし、この2社が市場をほぼ独占しており、このポジションは、同業他社の垂涎(すいぜん)の的だ。ただし利益は、他の中国でビジネスを展開している企業も同様だが、まだこれからだ。
投 資家にとっては、この中国撤退の動きはグーグル経営陣が持っている理想主義の表れとみえるだろう。収益化がはるか遠くでも書籍の電子化のような事業につい ての先行投資は容認できる。同社には慈善団体のようなところがあるからだ。上場したときに、経営陣は、「短期的な利益にはならなくとも、世界に前 向きなインパクトのある事業をやりたい」と言っていた。倫理的な観点以外からみても、いくつかの上場時の公約に忠実なことは理解できる。
同社は膨大な個人情報を預かっており、顧客の信頼は重要だ。その情報を守るためには慎重でなければならない。また情報の自由を推し進めようという姿勢は、中国政府の情報規制の強化の流れと相容れないものがある。
ともかく同社の中国撤退は中国で事業を展開する企業にとっては気の重くなる出来事だ。
グーグルは、中国で事業を展開するため検索結果への自主検閲に同意した一方で、中国政府が規制を緩和する方向に向かうことを期待していたに違いない。
しかし、反対のことが起きている。ハッカー攻撃によって、とうとうグーグルは堪忍袋の緒が切れたというところだろう。
中国が金融危機後の経済成長によって自信を深める一方で、外資にとっては事業がやりづらい環境になってきた。米コカコーラによる果汁メーカー中国匯源果汁集団(China Huiyuan Juice Group)の買収を中国商務部が承認しなかったり、英豪の資源大手リオ・ティントの社員4人をスパイ容疑で逮捕したりしたのも、そうした流れを示している。
中国の指導者らは、おそらくグーグルなどに興味を持っていないだろう。もし撤退すれば、中国政府の規制に従順な百度など地元企業が成長できる。中国のインターネットは、社内イントラネットに近づいていくことになるだろう。
グーグルの中国事務所の前に花束を置いた人々が、こうした懸念を感じているのは確かだ。今回のグーグルの動きは、外からみると、インターネットの自由のための抵抗のようにみえるが、中の人々にとっては、一つの外資系企業の撤退以上のものがある。
http://jp.wsj.com/Finance-Markets/Heard-on-the-Street/node_22216
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