小3ため池に転落死
高松・香南町、祖父発見、フェンスなく
葵さんが転落した惣物上池(4日午後6時53分、高松市香南町岡で) 4日午後5時50分頃、高松市香南町岡の惣物上池(そうもつかみいけ)(周囲約330メートル)で、近くに住む会社員太田和夫さん(34)の長女で市立香南小3年葵さん(8)が、岸から約10メートルの水面にうつぶせで浮いているのを仕事から帰宅途中だった葵さんの祖父、巌さん(62)が見つけた。葵さんは家族に引き上げられ、市内の病院に運ばれたが約2時間半後に死亡した。
高松南署の発表などによると、葵さんは両親と祖父母、小学1年の妹の6人家族。同日午後5時頃、「公園に遊びに行ってくる」と祖母の君代さん(59)に言い、自宅から1人で自転車で出かけたという。現場には、道沿いの一部にガードパイプが設置されているが、池全体を囲うフェンスはなかった。同署は、自転車が自宅に置かれていることから、葵さんはいったん帰宅後、再び遊びに出て、誤って池に転落した可能性が高いとみて調べている。
巌さんは「葵を池から引き上げた時、心臓が止まりそうだった。池の周りは滑るので、のぞき込むなと普段から言い聞かせていたのに」とぼう然とし、君代さんは「いつも通り学校から帰って元気よく遊びに行ったのに。何でこんなことに」と嘆いていた。
池周辺は子どもの遊び場になっていたという近くの女性(60)は「葵ちゃんの妹が最近、自転車に乗り始めたようで、よく2人で池のそばを走っているのを見かけた。まさか転落するなんて」と驚いた様子だった。
市立香南小と市教委によると、葵さんは同日午後3時まで授業を受け、同校近くの学童保育に向かった。その後、迎えに来た母親と帰宅したという。高松南署から連絡を受けた平野勝也教頭は「おとなしく、しっかりした女の子。本当につらい」と声を詰まらせていた。
県警によると、転落など池での水難事故は、2007年が6件、08年は5件発生し、いずれも3人が死亡。今年はこれまでに2件あり、2人が死亡している。
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県土地改良課によると、県内には渇水時などの農業用水として、全国で3番目に多い約1万4000のため池がある。地元農家や住民らでつくる水利組合、土地改良区などが管理しているが、大半は築200~300年と老朽化が進み、農地減少で放置されているケースも多いという。
県や国の補助事業で、08年度末までに、半数にあたる約7500か所を改修。しかし、豪雨や地震などによる堤防の決壊防止が目的のため、フェンス設置など安全対策は補助対象になっていない。
転落防止などを巡り、県は08年8月、各市町と管理者に警告看板やフェンスを点検するよう通知。だが、整備は管理者に任されているため、多くのため池で対策は進んでおらず、同課は「フェンス設置などは費用負担が大きい。少なくとも看板を立ててもらうよう管理者に呼びかけたい」としている。
(2009年6月5日 読売新聞)
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